誤嚥性肺炎と口腔清掃状態の関係
大阪市天王寺区にある歯医者 上本町プラザ歯科の歯科医師山本です。
今回は誤嚥性肺炎と口腔清掃状態の関係についてお話します。
誤嚥性肺炎とは、口腔内の細菌を含んだ唾液等が気管内に入り、肺の深部まで侵入して炎症を起こした状態をいいます。
胃液や胃の内容物が逆流(胃食堂逆流現象)しても発症し、重症化すると死に至ることがあります。
誤嚥性肺炎の直接の原因は細菌の繁殖です。
鼻腔や口腔にはさまざまな細菌がいます。
誤嚥性肺炎を発症した患者さんから検出された細菌を調べると、一番多いのがやはり肺炎球菌ですが、他にもさまざまな細菌が原因となっていることが分かっています。
発症の原因は、大きく分けて、食事中の誤嚥、胃の内容物等の誤嚥(メンデルソン症候群)、就寝中の誤嚥(不顕性誤嚥・静かな誤嚥)の3つが挙げられます。
対応として、第一には、誤嚥の回数を減らすために嚥下能力を鍛えること。第二には、誤嚥をしても肺炎にならないために、多職種と連携し、
①口腔衛生状態を高いレベルで管理する
②口腔機能の向上(とくに舌の機能の向上)
③嚥下機能の向上、直接・間接的な摂食・嚥下機能訓練
④食後の上体起こし(1時間以上)
⑤歌を歌う、おしゃべりを楽しむ
ということに取り組むことが求められます。
この他、医療的、薬物的な予防法としてサブスタンスPという脳内から出る嚥下反射を改善する物質を増やす薬として、ACE阻害薬やシロスタゾールという薬があります。
専門医との連携も重要です。
誤嚥性肺炎を含む肺炎は日本人の死因の第3位を占め、とくにお年寄りにとって致死率の非常に高い疾病となっています。
お年寄りに多い理由は、慢性的に誤嚥をしている、嚥下反射が低下しているだけではなく、誤嚥した後それを解除する咳反射の能力が低下しているためです。
さらに、誤嚥性肺炎を起こすお年寄りの多くが口腔衛生状態が悪く、誤嚥したものに細菌が付着していることが多いという理由が挙げられます。
また、抵抗力が低いことも影響しているでしょう。
特に施設入所者様や入院患者様の中には自立して歯磨きが出来ない方がたくさんいます。
そのような方々は口腔衛生状態が悪くなっていることが非常に多いです。
施設、病院スタッフの毎日の口腔ケアはもちろんのこと、歯科医師、歯科衛生士による専門的なケアがとても重要になります。
また歯科医師、歯科衛生士から施設、病院スタッフへ口腔清掃指導を行うなど医科歯科連携を図ることが大切です。
上本町プラザ歯科
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