12月度生涯研修セミナー
大阪市天王寺区にある歯医者 上本町プラザ歯科の歯科医師山本です。
12月8日(日)に大阪府歯科保険医協会が主催する生涯研修セミナーを歯科医師1名、歯科衛生士2名で受けてきました。
場所は難波のM&Dホールで70名を超える歯科医師、歯科衛生士が参加していました。
今回は「小児の歯科治療ー基本から最新トピックまでー」という内容で、講師は大阪大学大学院歯学研究科 口腔分子感染制御学講座(小児歯科学教室)教授の仲野和彦先生でした。
最初に乳歯や幼若永久歯のう蝕治療(ムシ歯治療)について、ムシ歯の大きさや年齢ごと(3歳未満、乳歯列期、混合歯列期)の治療方法や、治療時のポイントなどを詳しく解説して下さいました。
小児のムシ歯の場合は生活習慣(砂糖の摂取、歯磨き、就寝時間等)の改善を試みないと根本解決には至らないので、ご家庭での協力が必須です。
生活習慣が改善されない場合は一度治療が終了しても、新生う蝕や二次う蝕に罹患する可能性が高いです。
次に低ホスファターゼ症(HPP)について口腔内の特徴から全身の症状について学びました。
低ホスファターゼ症の大きな特徴のひとつに乳歯の早期脱落があります。
乳歯は永久歯との交換期に歯根が吸収されて抜けるものですが、低ホスファターゼ症の場合は歯根の吸収が起こらずに、乳歯が抜け落ちます。
乳歯の永久歯への交換は平均6歳前後からはじまります。
生えかわりには個人差はありますが、1~3歳で歯根が吸収せずに歯が抜け落ちた場合は低ホスファターゼ症の可能性があり要注意です。
早期の乳歯の脱落に対しては小児義歯が保険診療で適応できます。
必ずお近くの歯医者に相談して下さい。
次に小児の歯の外傷(破折、脱臼、陥入)それぞれの状態に対しての対応を学びました。
小児の外傷は一般開業医でもよく目にする症例なのでとても勉強になりました。
最後に「感染性心内膜炎の予防のガイドライン」についてお話されました。
心室中隔欠損などの心疾患がある方は歯科治療において抜歯などの観血的処置を行う場合には、サワシリンなどの抗生剤の予防投与が必要になります。
JCS2003のガイドラインの班員には歯科医師は含まれていなかったのですが、JCS2017のガイドラインには仲野先生が加わったことで、歯科治療時の予防投与について明確な基準が設けられました。
今回のセミナーでは小児のう蝕治療や外傷などの口腔疾患から、低ホスファターゼ症や感染性心内膜炎といった全身疾患まで詳しく学ぶことが出来ました。
エビデンスに基づいた確かな治療を提供するためにこれからも積極的にセミナーに参加していきたいです。
1月度の生涯研修セミナーにも参加予定なのでまた報告させて頂きます。
上本町プラザ歯科
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