フッ化物の応用について①

   

大阪市天王寺区にある歯医者 上本町プラザ歯科の歯科医師山本です。

今回はフッ化物の応用についてお話します。

先進国のなかでもフッ化物応用の遅れている日本ですが、3年前にようやく歯磨剤に配合されるフッ化物濃度の上限が1500ppmまで引き上げられました。

一方で、未だに「フッ素は危険だから使わない方が良い」と誤ったイメージを抱いている方は少なくありません。

う蝕予防のために小児から成人、高齢者まで全世代においてフッ化物応用が効果的で安全に使うことができます。

日本で行われているフッ化物応用は「局所応用」といって、歯や口の中に直接フッ化物を用いて、むし歯予防作用を発揮させる方法です。

方法は大きく2つにわかれ、歯科医院でときどき高濃度のフッ化物を歯面に塗布する方法と、自宅でフッ化物洗口をしたりフッ化物配合歯磨き剤を使ったりして低濃度のフッ化物を頻回に応用する方法に分類できます。

高濃度フッ化物は歯を強くし、低濃度フッ化物はむし歯になりかかったところを再石灰化によって治してくれるため、年齢に応じて組み合わせることをお勧めします。

高濃度フッ化物は、日常使用する歯磨き粉などに含まれるフッ化物の約10倍の9000ppmで、歯科医院でしか使用が認められていません。

高濃度フッ化物塗布剤を2~3分塗布することで、歯の表面につくられたフッ化カルシウムからフッ化物イオンが放出され、歯の結晶であるヒドロキシアパタイトを酸に溶けにくいフッ素化アパタイトに変えます(酸抵抗性の向上)。

しかし、この反応は歯の表面に限られるうえ少しずつ消失しますので、定期的に歯科医院を訪れて、繰り返し塗布しましょう。

塗布後、唾液は飲み込んでも構いませんが、30分間は飲食や洗口をしないほうがフッ化物が安定します。

また、リン酸酸性フッ化物(APF)で塗布した日(とくに塗布直後)は、歯に色がつくのを防止するために、カレーやウーロン茶など色素の強い飲み物や食べ物の摂取を控えましょう。

日常使用するフッ化物配合歯磨き剤や洗口剤には225~1500ppm程度の低濃度フッ化物が含まれています。

この場合、応用後に歯表面に残ったフッ化物が、歯が溶けるのを抑える作用(脱灰抑制)と再石灰化を促進します。

しかし、多くは唾液によって洗い流されてしまいます。

そのかわり、口腔の粘膜に残ったフッ化物が少しずつ放出されて、歯表面の脱灰抑制と再石灰化の促進を継続します。

粘膜上に保持されたフッ化物がいずれは消失しますので、フッ化物洗口は1日に1回、フッ化物配合歯磨き剤は1日に2回以上使用するとよいでしょう。

このように、高濃度と低濃度フッ化物とではむし歯予防作用が異なるので、両方とも取り入れましょう。


上本町プラザ歯科

大阪府大阪市天王寺区上汐4丁目1−33 フェンテ上汐1F
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