顎骨壊死について①

   

大阪市天王寺区にある歯医者 上本町プラザ歯科の歯科医師山本です。

今回は「顎骨壊死」についてお話します。

特定の薬(BP製剤やデノスマブなど)を服用している場合、抜歯やインプラント治療などの侵襲が高い治療を行ったあとで、痛み、不快な臭い、膿が出る、骨がむき出しになるといった症状を伴って、まれにその傷がずっと治らないことが起こりえます。

この場合、検査を行って、ある条件を満たすと「顎骨壊死」と呼ばれます。

顎骨壊死の状態を放置しておくと、痛みや不快な臭いなどがひどくなり、食事・会話に支障が出たり、見た目・不快感といったお口の困りごとが増えていってしまいます。

いったん顎骨壊死を発症すると、一般開業医では治療ができませんので、大きな病院に転院して治療を受けていただく必要があり、長い通院期間を余儀なくされてしまいます。

場合によっては、顎骨離断といって壊死したあごの骨を切断しなければならない場合もあります。

BP製剤を使用している患者さん方に顎骨壊死が起こることが世界で初めて報告されたのは2003年ですが、初めて顎骨壊死が報告されてから17年以上が経過した現在でも、なぜ薬剤関連顎骨壊死になるのかはほとんどわかっていません。

そのため、確実な治療法も存在しないのが実情です。

近年、免疫システムの異常が薬剤関連顎骨壊死と関連する可能性が高いことが多くの基礎的・臨床的な研究で報告されており、いずれは原因が特定されるかもしれません。

最近では、顎骨壊死部分を外科的に切除することで治療することが報告され始めましたが、薬剤関連顎骨壊死を引き起こす高濃度の薬物治療を受けている方では、たとえ外科的に切除しても再発することが多く、その科学的根拠は少ないままになっています。

ですから、現状では顎骨壊死にならないための予防や早期発見がもっとも大切です。

負担の大きな歯科治療である、歯を抜く治療、インプラント治療、歯茎を切る治療、歯の根っこの先端を外科的に切除する治療などの外科的処置は、顎骨壊死を引き起こすリスクを高めます。

部位としては、粘膜が薄い部分で、触ってごつごつしている上あごの真ん中や下あごの内側の出っ張りで起きやすいと言われています。

お口の清掃状態が悪いことも顎骨壊死のリスクとなります。

さらに、合わない入れ歯をつけていると、入れ歯のせいでできた傷から顎骨壊死になることもわかっています。

また、噛みしめる力が強い方も注意が必要だとされています。

つまり、日ごろから患者さんには歯、歯ぐき、そして粘膜を含めた口腔環境を清潔に保つ努力をしていただくとともに、私たちが行うプロフェッショナルケアを受けて頂くことが非常に重要なのです。

顎骨壊死について②へ続く


上本町プラザ歯科

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