経口補水液、スポーツドリンクについて
大阪市天王寺区にある歯医者 上本町プラザ歯科の歯科医師山本です。
今回はスポーツドリンクと経口補水液についてお話します。
スポーツドリンクのpHは3.5付近です。
歯が溶けて脱灰するpHは5.5以下と言われているので常飲しているとムシ歯になりやすいということになります。
乳幼児に哺乳瓶などで与え続けると「ランパント・カリエス(汎発性う蝕)」の原因になります。
「ランパント・カリエス」とは重度のムシ歯が一度に多数の歯に見られる状態のことです。
昔は子供の下痢などによる脱水時にはスポーツドリンクが推奨されていましたが、今は経口補水液が推奨されています。
水を飲むと小腸から吸収され、全身の血管を通じて細胞の周囲に行き渡ります。しかし、細胞の中に水分が取り込まれるためには、電解質(イオン)であるナトリウムが必要です。
脱水だからといって水分だけ補給しても、細胞の中までには十分届かないのです。
激しい運動で大汗をかいた時や下痢の時などは、水分だけでなく、ナトリウムなどの電解質も奪われます。
そこで適度のナトリウムなどを補給するのに役立つのが、経口補水液(ORS)です。
経口補水液は体から失われた体液、すなわち水分・電解質・ブドウ糖を補う液で、摂取することで速やかに体内に吸収されることから、飲む点滴とも呼ばれています。
現在、OS-1(大塚製薬)やアクアライトORS(アサヒグループ食品)などが販売され、小児の経度~中等度の脱水に対して推奨されます。
では、経口補水液とスポーツドリンクはどのように違うのでしょうか。
ここで、経口補水液とスポーツドリンクの組成を比べてみましょう。
まず経口補水液のと比べて、スポーツドリンクの電解質は半分以下です。
脱水対策に肝心な成分が少ないのです。
一方、経口補水液にはブドウ糖が2%含まれています。
実は、この濃度(1ー2%)のブドウ糖とナトリウムを同時に摂取することが重要なのです。
この濃度(1-2%)のときに、水分や電解質、ブドウ糖は最も早く吸収されます。
この濃度が高すぎても低すぎても、小腸から吸収される速度が低下してしまうのです。
エネルギー補給のためには、糖分濃度が高い方が有利と思われがちですが、それは違います。
スポーツドリンクには砂糖などが6%も含まれています。
糖分濃度が高すぎると、吸収速度は低くなります。
実際、スポーツドリンクの小腸での吸収率を調べた研究によると、経口補水液の1/3程度でした。
以上をふまえると、スポーツドリンクは、スポーツ時の水分補給や軽い発汗に対する飲料であり、脱水時の水分補給に対しては不十分です。
あくまで清涼飲料水のひとつとして考えた方が無難です。
スポーツドリンクはムシ歯のリスクも高いので、脱水時の水分補給は経口補水液をおすすめします。
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