研磨剤の知覚過敏への影響

   

大阪市天王寺区にある歯医者 上本町プラザ歯科の歯科医師山本です。

今回は歯磨剤に含まれる成分である研磨剤が象牙質知覚過敏に及ぼす影響についてお話します。

象牙質知覚過敏症では、口腔内に露出した象牙質に物理・化学的な刺激が加わることで一過性の疼痛を生じます。

象牙質の露出面からは、歯髄まで、直径1μm程度の象牙細管が走行しています。

通常、口腔内に面した象牙細管の開口部は、唾液成分に由来する石灰化物等で封鎖されていますが、封鎖性が低下すると外部からの刺激が細管を介して歯髄に伝わり、知覚過敏を起こすと考えられています。

象牙質の露出は歯肉退縮や歯の摩耗によって生じることから、過度なブラッシング圧や歯磨剤に含まれる研磨剤は象牙質知覚過敏に影響すると懸念されます。

しかし、倫理的な側面からヒトを対象とした介入研究は難しく、知覚過敏に及ぼす研磨剤の影響を検討する十分な根拠が得られてないのが現状のようです。

また、細管開口部の封鎖性は唾液の性状で変化すると考えられます。

食品やプラーク由来の酸による侵食の影響も受けます。

知覚過敏に関する研究では、歯髄神経の興奮を抑制する硝酸カリウムだけでなく、フッ化物、乳酸アルミニウム、アルギニンなどの象牙細管の封鎖を期待した成分を配合する市販歯磨剤の使用で、知覚過敏の症状の改善が認められたことが報告されています。

また、象牙質片を酸と人工唾液で繰り返し浸漬した脱灰ー再石灰化モデルによる基礎研究では、上記の成分を配合した歯磨剤を併用した歯ブラシによる擦過によって、象牙質の摩耗と象牙細管の開口部の封鎖の両方が確認されています。

研磨剤は、歯面清掃性を高める目的で歯磨剤に添加されています。

現在販売されている歯磨剤には、歯の摩耗を考慮して研磨性を抑えたものも数多くあります。

知覚過敏の患者さんは、疼痛をおそれてブラッシングを避けてしまう傾向があるようです。

しかし、知覚過敏を抑制する成分を配合した低研磨性の歯磨剤を使用してプラークをしっかり除去することは、象牙細管の封鎖性を低下させる酸の侵食を抑え、知覚過敏の発生・進行の防止につながると考えられます。

知覚過敏の症状が気になる方は是非一度当院にお越し下さい。


上本町プラザ歯科

大阪府大阪市天王寺区上汐4丁目1−33 フェンテ上汐1F
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