歯周病治療
歯肉炎の早期治療
歯みがき後に鏡でよく見ると血が出たりしていることがありませんか?血が出ていたり赤く腫れていたりしているのは歯ぐきの病気や歯肉炎です。きちんと汚れが取れていないことが原因で口の中にプラークという細菌が取り残した食べ物のカスとともにどんどん増えて行きます。その細菌により歯ぐきに支障をきたしたり歯肉炎になります。
高齢の方だけではなく若い世代でも歯肉炎になります。腫れが進行すると歯周病になるおそれもあり注意が必要です。歯肉炎の予防には歯磨き食生活を見直すことが大事でまた早期治療も大切です。当院では、歯肉炎の防止をするためにブラッシングの方法や生活習慣のアドバイスも積極的に行っています。
歯肉炎のチェックッリスト
歯ぐきが丸くもしくは楕円形に腫れている
歯みがきでの出血
歯ぐきが赤くなっている
白くネバネバなものがついている
歯肉炎になりやすい生活習慣
歯みがきの時間が短くしっかり磨けていない
お菓子が好きで甘い物も好き
ジュース、炭酸飲料やスポーツドリンクを頻繁に飲んでいる
気づくと口で息をしていることがある(鼻で息ができない)
歯を失う原因 1位:歯周病
そもそも歯周病とは歯を支える骨や歯肉の病気です。歯の土台である歯槽骨がだんだんと無くなり最後には歯が抜けてしまうこともある病気です。この土台をなくす原因は歯の表面にプラークが付着し細菌が増えることで土台である歯周組織や骨を破壊します。そして炎症が歯肉内部に入ると歯槽骨が破壊され歯を固定する力がなくなり最終的には歯を失います。
また、歯周病はタバコも影響し状況も悪化させます。厚生労働省の調査では成人の約7割が歯周病にかかっているという結果もあり糖尿病や全身の病気にも関わりがあることがわかっています。歯周病は初期症状があまりなく、症状が出た時は末期で手遅れの場合が多いです。
歯周病の進行過程
●健康で歯肉炎の疑いなし
歯肉は淡いピンクで引き締まっています。土台である歯槽骨の破壊もなく歯周ポケットもありません。
●歯肉炎
プラークがたまり歯肉が炎症を起こしています。歯肉の付着分に隙間、歯周ポケットができます。
●軽度歯周病
細菌が数を増やし炎症を起こしています。そしてブラッシングでの出血や歯肉の腫れがあります。歯周ポケットは4ミリほどで衛生士によるブラッシングの指導とクリーニングをすることで比較的早く治すことが期待できます。
●中度歯周病
歯肉は炎症し出血もひどくなり医師が見ても炎症をおこしていることがわかります。歯周ポケット5~7ミリと深くなり歯もグラグラします。痛みがある場合は麻酔をして歯肉溝に付着した歯石を取ります。歯石の状況が改善すると検査します。歯周ポケットが4ミリ以上あると歯周外科の適応となります。
●重度歯周病
歯肉は化膿し真っ赤に腫れます。土台である歯槽骨も破壊され歯のグラグラもより大きくなります。歯周外科の適応も難しく保存が難しい場合は抜歯となります。
歯周病の進行に合わせた治療
当院では、ていねいに歯石除去し歯ぐきの改善をします。歯石が取り切れない場合は外科的治療での歯石除去も可能です。
STEP1 歯ぐきの検査レントゲン撮影で歯の土台である歯槽骨と歯石をチェックします。歯の表面についているプラーク(細菌)がどのぐらいついているかもチェックし専用の器具で歯周ポケットの深さを測ります。
STEP2 歯石を取り除きます歯と歯ぐきの境目についている歯石を専用器具で取り除きます。歯石はご自身のブラッシングで取り除くことはできません。歯ぐきの状態を把握しながら基本的に最低2回は歯石を取り除きます。
歯石除去は表面を傷つけないようていねいに除去します。そして正しいブラッシング方法も指導させていただきます。
専用器具で歯周ポケットの深さを測ります。見えにくくたまってしまった歯石、プラーク(細菌)を取り除き、その際深い部分の歯石の場合は麻酔をします。出血が予想されますが歯ぐきの腫れによるものですので心配しなくても大丈夫です。
STEP4 治療はこれで終わりです歯周病の細菌は完全除去はできないので完治は難しいです。ご自身による家でのケアと定期的な歯石除去で口の中をコントロールすることはできます。歯周病は初期症状がなく気づくことが遅れてしまうことが最大の特徴です。すぐに炎症を起こし体が疲れたときにも再発してしまう病気です。ご自身で体調管理もしていただくよう十分注意しておきましょう。
メンテナンスを十分に
歯周病を治療した後は歯ぐきの調子もよくなります。日々のブラッシングはもちろん、定期的なメンテナンスで口の中の状態も保つことができます。ブラッシングもその都度指導することもできます。歯肉の腫れ、引き締まった歯肉を取り戻すために患者さんと一緒に治療に取り組んでいきます。
歯周病は全身疾患へのリスク
歯周病は口の中の病気ですが心臓病や糖尿病、血管障害のリスクも高くし全身の健康を損なう原因でもあります。全身に影響が出る前に歯周病予防と早期治療を心がけましょう。
糖尿病歯周病菌と糖尿病はとても深く関わりを持っています。そして歯周病=糖尿病と言ってもおかしくありません。歯周病が重症化している患者さんは重症化してから約2年後に糖尿病が悪化している可能性が高く確率も軽症の人に比べて5倍ととても高い確率です。
肺炎高齢になると飲み込む力も低下し、歯周病菌が肺に入るおそれがあります。そして肺炎を引き起こす可能性があります。
心臓病歯周病菌が血液に入り込み動脈の血管の壁を厚くします。血管が詰まりやすく動脈硬化や心筋症、狭心症も引き起こすと考えられています。
脳卒中歯周ポケットから歯周病菌が血液に入り込みます。そして動脈の血管が厚く硬くなることで血管が狭くなります。動脈硬化が起こると自然と脳卒中起こす可能性が高くなります。
歯周病とタバコの関係
タバコの煙には400種類の化学物質に200種類の有害物質、37種類の発がん物質が入っています。ニコチンは歯の血管にも影響することがわかっていて歯肉の血行が悪くなったり酸素や栄養も届かなくなります。結果細菌に対する抵抗力も下がり歯周病になります。これらのことから歯周病はタバコと深く関係することがわかります。
タバコを吸わなくても予防は大切ご自身がタバコを吸っていなくても周りの方がタバコを吸っていることで健康被害を受けることを受動喫煙と言います。実際吸っている人よりも周りの方が影響を受けるという話はよく聞きます。そしてタバコから出る煙の方が毒性が高いです。歯周病を予防するには本人はもちろん周りの方の中にも吸っている人がいる場合は禁煙してもらうことが大事です。
喫煙者の口の中の危険度
歯の表面には発がん性物質が付着
歯肉が暗紫色で健康色でない
出血、炎症反応が見えにくく現れにくい
メラニン色素が沈着することで歯が黒ずむ
歯肉がごつごつしてくる
上顎の粘膜が盛り上がる