口腔がんについて①
大阪市天王寺区にある歯医者 上本町プラザ歯科の歯科医師山本です。
今回は口腔がんについてお話します。
皆様もすでにご存知のとおり、日本人の死亡原因第一位は「がん」です。
今や、日本人の2人に1人はがんを患い、3人に1人はがんで死亡します。
こうした背景もあり、がんの早期発見、早期治療に関しては急速に研究が進められているため、日本の医療レベルは世界最先端と言ってよいと思います。
しかし、口腔がんについて言えば、日本は必ずしも先進国とは言えないのが現状です。
口腔がんには舌がん、口腔底がん、歯肉がん、頬粘膜がん、口蓋がん、口唇がんなどがあります。
つまり、そのほとんどが口腔粘膜に生じるということです。
日本における口腔がんの多くは舌がんで、次に、口腔底がん、歯肉がんなどの順で多くみられます。
まずは、がんの死亡率を部位・疾患別に見てみましょう。
2013年のデータによれば、1位は「膵臓がん」で、なんと罹患者に対する死亡率は約95%です。
まさに、罹ってしまったら生存は難しいがんなのです。
死亡率がこれほどまで高い理由として、発見が遅れることが挙げられます。
膵臓はその周囲が他の臓器に囲まれていることから、通常の投影検査では発見できず、本人が症状を自覚してから検査した時点では、すでに進行がん、しかも末期がんとして発見される場合が多いのです。
一方、もっとも死亡率が低いのは「皮膚がん」で、約10%という結果です。
これは、自分で毎日鏡を見たり、毎晩お風呂で全身を見たりする機会があることから、患者自身で迅速に皮膚の異変に気付けたり、その後病院に行って検査を受けたりすることができるからなのです。
以上をふまえると、早期の気付き、早期の検査が死亡率に大きく影響しているといことがわかります。
「口腔がん(口腔・咽頭がん)」はと言うと、全体の10位に位置し、死亡率は46.1%となっています。
罹患者の約半数が亡くなるがんであるということです。
11位以下には、腎臓、膀胱、子宮頸部、直腸、乳房、前立腺など、がんができる部位としては聞き慣れたものが並んでいますが、それらはすべて口腔がんよりも死亡率が低くなっています。
日本における口腔がんの罹患者数は年々増加しており、口腔がんと咽頭がんとを合わせた数値とはなりますが、年間で約2万人まで増加してきていると予測されてます。
そして、その2万人のうち、約50~60%(約1万~1万2千人)が口腔がんの患者であると予測されています。
この罹患者数がどの程度なのかというと、胃がんや肺がん、大腸がんなどの腸のがん、乳がんと比較すれば少ないですが、皆様もよく聞いたことがあるであろう「子宮頚がん」とほぼ同等なのです。(2011年の子宮頸がんの罹患者数約1万人)
そこで両者の死亡数を比較してみると、驚くべき事実が判明しました。
1980年頃までは、両者の死亡数は同じくらいでしたが、現在では大きく差が開いているのです。
その理由として子宮頸がんの方は、人間ドックや定期検診が定着したり、ワクチンの開発が進んだことで、予防と早期発見・早期治療の体制が整ってきていることが考えられます。
(②へ続く)
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